8/29月-9/11日 竹堂史嗣 写真展 『仮象』
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竹堂史嗣
Discription
8/29月-9/11日 竹堂史嗣 写真展 『仮象』
■Overview
ストリートスナップを中心に活動している写真家・竹堂史嗣(タケドウ・フミツグ)による初個展『仮象』。
壁一面に70点以上の写真が展示される本展のテーマは、主体によってモノの見え方が異なる「環世界」。SNSの映え写真の繁栄による“上手い写真=いい写真”という画一化された感覚へのアンチテーゼが展示空間と作品を通して表現される。
会場では作品群をまとめたZINEも販売予定。部数限定の手製本もあるのでご購入したい方はお早めにご来場ください。
■Statement
乳児の最遠平面(視空間の知覚の限界)は、目の前のあらゆる対象を取り込んだ〈平面〉で終わっている。一方で大人は視空間で〈距離〉を認識できる。つまり、大人には世界は奥行きのある立体的なものに見えているが、乳児にとって世界は平面に見えているのだ。
動物や昆虫になると私たちとの視空間の知覚相違はもっと顕著で、例えばカタツムリなどの軟体動物は街の風景を“明るい面と暗い面”としか捉えることができない。これらを発見した生物学者・哲学者のユクスキュルは、動物それぞれの知覚世界を「環世界」と唱えた。
私たちが距離を認識できる大人同士であっても、環世界はあるだろう。「単なる影が人の顔に見えた」というのがいい例だ。より身近なものだと、レビュ―評価の低い映画でも、実際に観ると「個人的には良かった」と感じるのもその一つだろう。「個人的に…」という言葉は主観的現実を認識するための入り口になるだろうが、他者評価と自身の感覚を混同して捉えるのは環世界の基盤の認識を遠ざける行為だ。そして、ソーシャルネットワークと“個”が曖昧に癒着する環境への没入は、環世界の基盤の崩壊を促す要因ともいえる。
他者評価を促す機能(いいね/シェア)によって主観性は排除され、多数が良いと感じるものを“自分も良いと感じている”かのように錯覚する。同じように言葉やコンテンツを投稿するとき、「共感してもらえるかどうか」という他者ファーストの思考に陥る。そこに主観的コンテクストが介在する余地はない。そのような他者依存が進行すると、軟体動物のように “明るい面と暗い面”という二極でしか対象を認識できなくなる。
しかし、今見えている世界(スマホの画面も含む)は主観的現実でしかない。あなたが“良い”と知覚した視空間も、他者にとっては“暗い面”かもしれない。他者と同じ景色・対象を見ていても、視空間に客観性は存在しない。目に見えているのは、あなたの環世界であり表象としての世界であり実在性はない。「いずれの主体も主観的現実だけが存在する世界に生きており、環世界自体が主観的現実にほかならない」とユクスキュルも述べた。
■Profile
竹堂 史嗣(タケドウ・フミツグ)1993年岡山県出身。金村修ワークショップ受講生。「デジタルと現実の往来による意識の途切で“見落とした風景”」をテーマにスナップ写真を撮っている。
【イベント詳細】
展示タイトル:竹堂史嗣 写真展 『仮象』
期間:2022年8月29日(月)~2022年9月11日(日)
営業時間:12時~19時※最終日は18時まで(本屋は19時まで営業)
定休:水・木
会場:バロンデッセアートギャラリー3F(BOOKSHOP TRAVELLER隣)
住所:〒155-0031 東京都世田谷区北沢2丁目30−11北沢ビル3F